30歳で150億円稼いだロブ・ムーア氏の『MONEY』を紹介します。桁違いの億万長者ですが、彼は特殊なことをしてこの資産を築いたのではありません。基本的なことをきちんとやり続けたということが、この本でわかります。
自力で億万長者になった人の戦略を学べる本
今回紹介する本は、ロブ・ムーア氏の『MONEY』。サブタイトルは「Know More, Make More, Give More」。もっと知り、もっと生み出し、もっと与える、ですね。
2020年に日本語版も発売されています。副題は「30歳で150億稼いだ私の思考法」となっています。この本は経済的な成功を求める人だけではなく、現状に何かしら経済的な不満を抱えている人向けでもあります。つまり、基本的にあらゆる人にとって役立つ本だと思っています。
思い込みをなくす「お金があれば幸せになれるわけではない」
ロブさんが取った戦略を具体的にお伝えしていきます。まず2つの思い込みを外しましょうと書かれています。
思い込み1 「お金があれば幸せになれるわけではない」
よく「お金で幸せは買えない」といいますね。僕自身もそう思うところはあります。ただ、これをあまり意識しすぎると、お金を得ようという行動につながらなくなってしまうというのです。
健康や家族の愛情は、確かにお金で買うことはできません。でも、そういうものに対しても、お金があることでできることは増えます。
半日だけ仕事をして稼ぐことができれば、その分家族と過ごす時間が増えるでしょう。 健康のために良い食事をとることや、健康診断、病院に通うのにもお金がかかります。
他にも、趣味などでやりたいことはいろいろありますよね。
アウトドアで自然に触れ合いたいとか、芸術を楽しみたいとか。お金があれば選択肢が増えて、より好きなものを選べるようになります。
「お金はあなたを絶対に幸せにする」
それがこの本のメッセージです。お金がすべてではないけれど、お金は僕たちが幸せになることをサポートしてくれる。お金に対してポジティブに向き合っていきましょう。幸せになる上で、お金は絶対に必要。まずこれを認めることが大事なのです。
思い込み2 「世の中には十分なお金がない」
もう一つ手放したい思い込みは、世の中には十分なお金がない、というもの。
お金を稼げない人たちは、自分にお金が回ってこない理由を景気が悪いとか、世の人がお金を使わないからといった固定観念を持っています。
しかし実際は世界中に相当なお金があります。少し前の記事ですが、2017年の日経新聞によると、世界で流通しているお金は1京円を超えていました。それまでの10年で7割増えていたそうです。さらに遡って1990年から比べると、流通量は4倍以上に増えています。
日本は給料も上がらない時代が続いたので、お金がないと考えがちです。でも実は日本においても122兆円のお金が流通してるそうです。
お金がないと嘆くのではなく、まず世の中にお金は十分にあると認める。そしてそのお金が自分に回ってくるための行動をする。それができれば、収入を増やすことができるというわけです。
この視点の切り替え、僕はすごい大事だと思っています。お金を増やしたいと考えるとき、自分の収入から考えることはありませんか?
30万円の月給を40万円に増やすのは難しい、ましてや100万円、200万円にするのは無理だと思ってしまいます。そうではなくて、世の中にあるお金の量から考えていく。すると、もっと収入を増やすチャンスがあると考えられると思うのです。
価値観をはっきりさせる
この2つの思い込みを外したら、次は価値観を明確にするというステップです。
自分はどこに向かっているのか
ただ一生懸命に働いているだけでは、幸福なお金持ちにはなれません。自分が向かう方向を考えないと、どれぐらいお金を稼げばいいのかもわからないでしょう。ビジョンが必要なのです。
まずは自分が大事にしてるもの、達成したいことをリストアップしてみましょう。そしてそれにランキング付けをしてみる。
僕の場合、いつか海外で生活をしたいと思っています。そんなふうに上位にくるものを考ると、収入を増やそうというモチベーションがうまれます。
さらにそのビジョンのために何をすべきか、特に注力することは何かを考える。これは人によって全然違ったものになると思います。もしかしたらYouTubeを配信することかもしれないし、副業かもしれない。マーケティングに力を入れることもあるでしょう。
「自分がやるべきこと」のほかはやらない
やるべきことが明確になったら、それ以外の仕事やタスクは断った方がいいと書かれています。
僕もフリーランスとして、基本的にお願いされたことはするものだと思ってやってきました。でもすべてのものが、必ずしも自分の目標や収入につながっているわけではありません。自分から何かをするときだけでなく、仕事を受けるときにも基準を決める必要があります。
収入に影響のある行動に力をいれる
ここまでで、思い込みを外してビジョンを決めたら、次は自分の行動のチェックです。
自分の収入につながる行動をピックアップ
仕事もプライベートも含めて自分が普段していることで、何が収入に影響を与えているかを判断します。これをすると自分が力を入れるべき分野が見えてくるはずです。
この本ではゴルフの例が挙げられています。ゴルフでは勝敗の40%を最後のパターが左右するとのこと。だからこそ活躍しているゴルファーは、パターの練習に時間をかけて力を入れているそうです。
ビジネスにおいても、あらゆることですべてに完璧を目指すのではなく、ゴルファーにとってのパターのような、一番重要なポイントに時間と力をかけていく。すると自ずと仕事のパフォーマンスも上がるし、収入も増えていくでしょう。
生産性をあげる
次に生産性です。仕事を効率的にやって生産性を高めていくことも、お金持ちになるために大切です。
少ない時間で、多くの収入を
成功するためには長時間働かなければいけないというわけではありません。著者は30歳で150億円を稼ぎましたが、長時間ハードワークして成し遂げたのではないのです。自分が特に価値を出せるところに注力して時間を使ったからこそ、達成できたといいます。
僕らはつい、収入を増やすためには長時間働かないと無理だろうと考えがちです。通勤時間がかかっても、収入の高い企業に勤めようと考えたりもするでしょう。でもそうではなくて、少ない時間でより多くの収入を得られる方法を考える必要があるのです。長時間ずっと働き続けるのは持続しませんよね。
時間こそが最大の資源なのです。そのことを認識すると、生産性は高まっていきます。
収入と時間を比べて生産性を把握
自分の生産性がどのくらいかを理解するために、この本で提唱されている方法があります。それは時間と収入を比べることです。
自分の収入につながっている活動がいくつかありますよね。僕であれば、ライティングやYouTube、このブログなどです。積み立てNISAで投資もしています。これらの活動から得られている収入を全部合計して、それを得るためにかけた時間で割るのです。そうすると自分が1時間あたりどれぐらい稼げているかわかりますよね。
時間単価がわかると、それより多くもらえる仕事であれば取り組み、そうでないものは断るか人に任せるという判断もできるようになります。合理的ですよね。
稼げる社長と、稼げない社長の差
桁違いに稼いでいる人は、自分がすべきこととしないことは、はっきりわけているだろうと思います。
活躍している経営者は自分がしなければいけないところに時間を使い、人に任せられるところはパッと切り捨てています。社長が自らすべての作業をする会社は、なかなか伸びるとは想像しづらいですよね。自分は経営に注力して、仕事をお願いできる人を集める。そういう方がビジネスは伸びていくだろうと思います。
人を雇うのではなくても誰かにお願いするということは、僕らフリーランスとしても考えておきたいことです。
小さな力で大きな効果。レバレッジを効かせる
次はお金を増やすことについてです。そのためにはレバレッジを効かせることがすごく大事だと書かれていました。
アメリカの億万長者の常識
レバレッジというのは、テコのこと。小さい力で大きな効果を生み出すという意味で、投資や仕事の成果に関して使われる言葉です。
本書によると、アメリカの億万長者たちは、レバレッジを効かせることが成功の鍵だと認識しているといいます。時間や知識、スキルなど自分が持っている限られた資源をいかに最大限活用するか。このことに日々頭を使っているのです。
ちなみにこの本の著者は、時間に関してかなり厳しく管理しています。たとえば会議のためだけに時間を取ることに違和感があったそうです。それで、散髪している30分の時間を会議の時間に当てるようにしたのです。
髪の毛を切っている時間は、普通は収入にはつながりませんよね。ここに目をつけて会議の時間にしたわけです。これで年間12時間も、収入を得るための時間に変えられたそうです。周りに聞かれても問題ない内容に限られますが、こうした活用もあり得ますよね。
任せられることは素直に頼る
収入につながらない時間は、シンプルにやめてしまうだけでなく、人にお願いすることも考えたいところです。
僕の場合、YouTubeで一番面倒だったのが、サムネイルの作成でした。最初の頃は自分で作っていましたが、面白くはないしなかなか時間もかかる。しかもクオリティとしても、どうなのかと思っていました。
それである時からデザイナーの方にお願いしています。またこのブログはYouTube動画から記事にしていますが、そこもお手伝いしてもらっています。
このように誰かに任せられることはお願いする。忙しいなかでもYouTubeやブログの更新を続けられているのは、人の協力を得ているおかげだと思います。
複利効果を狙う
続いて大切なのが複利効果。複利というのは、利息に対してさらに利息がつくことで、投資で使われる言葉ですね。資産を築く上で、これは外せません。
投資以外の行動も複利を使う
たとえば、年率10%の利率で運用した場合。元本にしか利息がつかない単利だと、元本が倍になるまで10年かかります。ところが複利だったら7年ほどです。この複利効果は、長くなればなるほど、単利との差が開いて影響が大きくなります。
本書では、複利の考え方を普段の活動にも取り入れることを勧めています。
何か新しいチャレンジを始めたばかりの頃は、ほとんど進歩が見えませんよね。だから続けるのが嫌になってしまったりする。それでも続けていくと、できることが増えて、だんだん楽になっていきます。基礎ができてくれば、進歩も目に見えて加速する。続ければ続けるほど、効果が高まっていくわけですね。
諦めなかったタイガー・ウッズ
本書では、プロゴルファーのタイガーウッズ氏が紹介されていました。彼は18歳でプロデビューした頃、全然勝てなかったそうです。でも諦めずに続けていたから、その後、チャンピオンになることができたのですね。
諦めずにコツコツ努力を続けた結果、いつか花が開く。これは収入についても全く同じことだと思います。最初、始めたばかりの頃は稼げないのが普通です。
僕もライターを始めた当初は、30記事で1万円くらいでした。それが、続けていくうちに金額が上がっていったのです。1記事2万円とか3万円とか、いいときは10万円をいただくようなことも出てきました。
YouTubeもそうですね。だんだん登録者数が伸びていって、おかげさまである程度収益を得られる状態になってきました。今年、英会話を始めたのですが、これも続けていけば複利効果を狙えると思っています。
お金、時間の節約につなげる
本書で面白いと思ったのは、複利効果を意識するとお金や時間の節約につながるということです。
たとえば1万円の無駄遣いをしたとします。そのとき失うのは、その1万円だけではありません。無駄遣いの代わりに1万円を投資していたら得られたであろう利益も、失うことになるのです。
ちなみに、1万円を年率7%で50年間運用すると18万円になります。1万円の無駄遣いで、将来18万円を得る機会を失ったかもしれないということになります。
時間にも同じことが当てはまります。毎日30分を無駄にしているか、将来に向けた行動をとっているかで、未来に大きな差が出ますよね。この点も、頭に入れておきたいことだと思いました。
値上げをおそれない
最後に、値上げをおそれないというアドバイスがありました。これはフリーランスや会社経営者にとっては、すごく大事なテーマです。
値付けは難しい
「値決めは経営」という故稲盛和夫さんの言葉もあります。安すぎるとビジネスが継続できません。一方、高すぎるとお客さんが離れてしまうかもしれない。それで売上が減ると、やっぱり継続が難しくなります。
適切な値付けをしないといけないのですが、なかなか難しいですよね。そのお客さんとの関係性もありますし、そのときの自分の収入の状況、あとは経済環境とかも値付けに影響してきます。
今すぐ10%の値上げをせよ
本書で勧めているのは、とてもシンプルです。とりあえず10%の値上げをすること。そうすればインフレによる物価上昇があっても、ある程度の利益が残るでしょう。かつ、支払う側にとっても、もとの金額にもよりますが、10%なら許容できる可能性も高そうです。
そうはいっても、値上げはなかなか心苦しいところ。それに対して著者は、「価値を上げることを考えよう」と提案しています。しかも、できれば自分にとってあまり時間やお金がかからない方法がいい。
たとえば、ホテルで枕元にチョコレートを置いたりとか。自動車メーカーが車を買った人におまけをつけるとか。いずれも、お客さんが払う価格に対して大きな金額ではありません。ちょっとしたことでも、お客さんが喜ぶことを考えるのです。
低価格が富裕層のお客さんを遠ざける
この本の著者は、値上げを恐れずにやっていったそうです。そこで分かったのは、値上げした方が、富裕層の方に受け入れられるということ。値上げを恐れるのは、お客さんが離れるのが怖いからですよね。でも、低価格なものを提供することで、お金を持っているお客さんを、むしろ遠ざけているというのです。
これって、すごく人間の心理をついていると思います。お金に余裕のある人は、何を買うにしても、高めのものを買う傾向にありますよね。その方が、失敗のリスクが低いと考えているからだと思います。
自分としては最高のサービスなのに低価格で提供していると、価格が安いという理由でお金を持っている方が離れてしまう。これは本当に不毛なことです。
値上げをして、提供している商品やサービスに見合った価格にする。適正な収入を得るためにも、値上げについて一度考えてみるのもいいと思います。
値上げを交渉してみた結果
僕自身も、来年の4月から10%の値上げを考えています。昨今の物価高の影響もありますし、あとはインボイス制度のことも考えています。この制度の影響はまだはっきり見えていません。ですがフリーランスの仕事が減ったり、消費税の負担が増える恐れがあります。それらを見越して、10%の値上げを想定しているのです。
すでに複数のクライアントに10%の値上げを持ちかけていますが、いまのところすべてOKをいただいています。やってみないとわかりませんね。
このまま値上げがうまくいけば、今と同じ収入を稼ぐために必要な仕事の量は減ります。そうすれば、自分の時間が増える。その時間を、自分が力を発揮できる領域に使っていけば、さらに収入を増やすことができると思います。
お金持ちになるのはそこまで難しい話ではない
今回紹介した『Money』は日本語訳も出ています。ぜひ読んでみていただきたい本です。これを読むと、お金持ちになるのはそこまで難しい話ではないと思えます。
今回紹介したことは、「確かにそうだよね」と思うようなことばかりですよね。まずはお金に対するマインドを変える。お金があるからといって幸せになれないとか、世の中にはお金がないという思い込みを捨てる。そして、自分のすべきことに注力して、きちんとやり続ける。これが大事なのだと思います。
※この記事はYoutube動画をもとに作成したものです。
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※本記事は執筆時点の情報に基づき掲載しています。制度のルールなどが変わる可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。