すでにNISAで投資を始めている人も、これから始めようと検討している人も「株に投資する」ことに関心がある人も多いのではないでしょうか。
「興味はあるけど何十万円も出さないと買えないイメージ」「株を買うのは怖いイメージがある」など、「株は上級者がするもの」というイメージがあって購入にいたっていない人もいるでしょう。
今回は、少額から株が買える「単元未満株」についてお伝えしていきます。
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など、詳しくみていきましょう。
単元未満株とは1株単位で売買できるもの
単元未満株とは【最低売買単位である1単元の株数に満たない株式】のことをいいます。
通常は銘柄にもよりますが、証券取引所で売買できるのは100株という単元数の場合が多いです。(1単元=100株)
たとえばA社の株価を買いたいと思ったとします。
◆株価は1,000円 ◆証券取引所では100株以上で購入する必要があるため、1,000円×100株=100,000円の資金が必要になります(手数料などは加味せず概算です) |
「気になる企業を見つけたけど10万円も出すのは抵抗がある」という場面もあるでしょう。
単元未満株であれば、1株から購入が可能です。(1,000円×1株=1,000円で購入できる ※手数料などは加味せず概算です)
少額から株を購入できるため「株に興味はあるけど手が出せていない」という初心者の人におすすめです。
証券取引所で売買できる単元株(100株以上で購入する株)と異なる点として
- 取扱い金融機関が限られる
- 取引所の取引可能時間には、リアルタイムでの売買ができないことが多いなど知っておくべき点もいくつかあるため、順番にお伝えしていきます。
各社呼び名が異なる
1株単位で購入できるものを正式には「単元未満株」と呼びますが、取扱い会社によって名称はさまざま。
証券会社名 | 単元未満株の名称 |
SBI証券 | S株 |
マネックス証券 | ワン株 |
auカブコム証券 | プチ株 |
楽天証券 | かぶミニ かぶツミ(積立プラン) |
SMBC日興証券 | キンカブ |
野村証券 | まめ株 |
岡三オンライン証券 | 単元未満株 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 単元未満株 |
ミニ株とのちがい
似たような名称で「株式ミニ投資」があります。
「ミニ株」と呼ばれることもある「株式ミニ投資」では、単元数(100株)の10分の1の単位(10株)で株を購入することが可能です。
しかし昨今1株から指定できる「単元未満株」が主流になっているため、「株式ミニ投資(ミニ株)」を扱う金融機関はあまり見かけなくなっています。
株をはじめるなら単元未満株がいい理由
資産運用をするための投資商品には「リスク」が存在します。
価格の変動幅の違いから投資商品をローリスクからハイリスクまで分類することができますが、その中でも株は「ハイリスク」に属する商品です。
株のなかには日々大きく価額が変動するため、投資自体が初めての初心者の人や株を買うのが初めてで「どんな値動きになるのかイメージしづらい」という銘柄があります。
まずは少額から株を購入し、株がどのように値動きするのかを「経験してみる」ことがおすすめです。
単元未満株であれば、1株から購入することが可能です。
数千円で気になる企業の株主になれる
たとえば、ソニー(6758)の株価は現在12,270円(2023.10.3時点)です。
証券取引所を通した購入の場合は、100株以上購入する必要があるため、ソニーの株を買うための最低購入金額は1,227,000円必要になります。(手数料などは加味せず概算です)
1株だけなら12,270円(概算)なので、ハードルを大きく下げることができます。
株価によっては、数千円、数百円で気になる企業の株主になれるのが「単元未満株」の魅力です。
※証券取引所に上場している全銘柄が購入対象ではなく、各社が選定した銘柄を単元未満株では取り扱っています。
株購入をきっかけに経済知識がふえる
株を購入すると、日々の株価の値動きを見たり、株価のニュースが気になります。
- なぜ株価が上がっているのか?下がっているのか?
- どんな経済問題が影響しているだろう
など経済情報への興味・関心が自然と向くようになります。
「この商品よく見かけるなあ、人気が出そうだから株価も上がるかも?!」と日常生活の中にも、株を見つけるためにアンテナを張って情報をキャッチしやすくなってくることも!
意外と株と日常生活は深く繋がっているので、関心を持つようになるとおもしろいですよ。
NISAでも購入可能
単元未満株はNISAでの購入も可能です。利益が非課税になるのはもちろん、売却するとその分の利用枠が復活する新NISA制度はぜひ活用したいですね。
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買付手数料無料に対応するところが増え、始めやすくなった
2024年度から新NISAがスタートすることも後押しとなり、株購入時の手数料無料化の動きが広がっています。
単元未満株も適用となる証券会社もあるので、投資初心者の人にとっても、はじめやすい環境が整ってきているといえるでしょう。
単元未満株のデメリット
単元未満株には、証券取引所で売買できる単元株(100株以上で購入する株)と異なる点やデメリットも存在します。
それぞれについて詳しくみていきましょう。
取り扱い金融機関が限られる
単元未満株はすべての金融機関で取り扱っているわけではありません。
今回リサーチした20社のネット証券会社の中でも、取扱いは8社のみでした。
単元未満株の購入も検討する場合は、取扱い金融機関の中から選ぶようにしましょう。
また、NISA口座は1人1口座しか持てないので、NISA枠で購入を検討している人はそちらも含めて選ぶとよいでしょう。
単元未満株の取り扱いのあるネット証券は記事の後半でご紹介しているので、ぜひそちらもご覧ください。
手数料が割高になる場合も
1株から購入できる単元未満株は数百円、数千円で購入できることも。
その反面、少額で株を購入し利益を出すためには【手数料をいかに抑えるか】が重要なポイントになります。
短期で売買を繰り返すのではなく、少しずつ買い増していき長期で大きなリターンを目指す長期投資という目線を持つこともおすすめ。証券会社によっては、株の積立プランもあるので気になる人は検討してみても。
売買手数料ゼロ円のネット証券もあるので、コスト面も意識して証券会社を選ぶことをおすすめします。
指値注文ができない
株の取引き方法には
- 指値注文(さしねちゅうもん)
- 成行注文(なりゆきちゅうもん)
があります。
指値注文 | 希望する売買価格(買いの場合は上限価格、売りの場合は下限価格)を指定して発注する方法 |
成行注文 | 「いくらでもいいから買いたい、売りたい」のような値段を指定しない注文方法 |
単元未満株は取引可能時間が決められており、成行注文のみの取扱いになります。デメリットとしては、思った以上に高い値段で買ってしまったり、安い値段で売ってしまったりするリスクがあります。
楽天証券の「かぶミニ」であれば、リアルタイム取引が可能になっているので、単元未満株をリアルタイムに売買したい人はそちらを利用してみてもよいでしょう。
株主優待、議決権がない
単元未満株は単元(100株)に満たないため、株主総会での議決権はありません。また、ほとんどの企業では株主優待をもらうことはできません。
100株以上になったら議決権や株主優待をもらえる権利が発生します。株数をコツコツ増やしていき、株主優待ゲットを目指す楽しみもありそうですね。
しかし、企業によっては1株から優待が出る企業もあるので気になる人は探してみてもよいでしょう。
配当金は単元未満でも、持っている株数に応じて受け取ることは可能です。
※優待の長期継続保有は1年以上保有というケースもあります。株主優待の権利・実施有無に関しては各企業にお問い合わせください。
少額ゆえにリターンも少ない
数千円の少額から気軽にはじめることが魅力の単元未満株ですが、少額ゆえにリターンも少なくなります。
たとえば【1,000円で株を購入し5%株価が上昇した場合、50円の値上がり】になります。(※あくまでも概算)
リスクとリターンは比例するので、5%上昇が見込まれるものは5%下落する可能性があるといえます。
少額ゆえにリスクで受ける金額も少額ですむと考えることもできるので、初心者の人はやはり少額から株を経験してもよいでしょう。
また、少額でもコツコツ積み立てていくと、大きなリターンを目指すことも可能です。投資は短期的な視点だけでなく、長期的な視点で考えることも大切なポイントです。
単元未満株が買えるネット証券8社
単元未満株を取り扱っているネット証券をご紹介します。
SBI証券
証券会社名 | SBI証券 |
単元未満株の表記 | S株 |
手数料 | 売買ともに無料 スプレッドなし(スプレッドとは株価と取引価格の価格差(取引コスト)のこと) |
NISA対応 | 〇 |
約定のタイミング | 市場への発注は1日3度 注文入力は24時間いつでもOK ▷詳しくはこちら |
▶特徴
2023年9月30日から売買手数料が無料化!これは少額購入の単元未満株にとって嬉しい出来事です。
Tポイント、ポンタポイントを提携すると、ポイントでも単元未満株を購入することも可能です。
マネックス証券
証券会社名 | マネックス証券 |
単元未満株の表記 | ワン株 |
手数料 | 買付:無料 売却:0.55%(最低52円) スプレッドなし |
NISA対応 | 〇 |
約定のタイミング | 当日午前11時30分までの注文が原則として後場の始値で約定します。約定結果は15時40分頃に反映されます。 非営業日の注文はすべて翌営業日の後場の始値で約定します。 ▷詳しくはこちら |
▶特徴
「ferci(フェルシー)」という、マネックス証券が提供する投資SNSと、1株から投資できる投資機能が一つになったスマートフォンアプリがある。
投資SNSで投資家と繋がることができ、気になる株があればかんたん操作ですぐに注文が可能。
auカブコム証券
証券会社名 | auカブコム証券 |
単元未満株の表記 | プチ株 |
手数料 | 買付、売却時ともに:約定代金の0.55%。最低手数料は52円(税込) 積立プランは買付時のみ手数料無料(売却時は上記手数料に準ずる) ▷詳しくはこちら |
NISA対応 | 〇 |
約定のタイミング | 注文のタイミングによって前場始値or後場始値が適用 ▷詳しくはこちら |
▶特徴
ポンタポイントで単元未満株を購入することも可能。
毎月の積立を金額指定(毎月500円以上1円単位)で買えるプレミアム積立®(プチ株®)なら買付手数料無料。
(株価が1000円の企業だと1株買うのに1000円必要になるため、金額指定は1000円以上である必要がある。また、株価上昇により指定金額を上回った場合、買付ができないこともある。
株価は日々大きく変動するため、余裕をもった金額設定をしておくか、積立利用ではなく自分で買いたいタイミングで買うほうが使いやすそうだと調査をして感じました)
楽天証券
証券会社名 | 楽天証券 |
単元未満株の表記 | かぶミニ かぶツミ(積立プラン) |
手数料 | 売買ともに無料 (買付金額にスプレッド加算あり) |
NISA対応 | 〇 |
約定のタイミング | リアルタイム取引と寄付取引の両方を選択可能 ▷詳しくはこちら ※取引形態で取扱い銘柄異なる ▷詳しくはこちら |
▶特徴
- 業界で初めてリアルタイム取引が可能に。【ビジネスモデル特許出願中(2023年4月6日現在)】
仕組み上、証券取引所での取引価格よりは高値での購入になりますが通常の証券取引所でのリアルタイムでの株購入に近い経験ができます。(かぶミニ®(単元未満株取引)は、楽天証券が相手方となり市場外で売買を成立させる「相対取引」です。約定単価は、東証参考価格にスプレッドを加減算した価格となります) - 楽天ポイントで購入することも可能。
- 株の積立ができるかぶツミもあり。
金額指定だけでなく株数指定もできるので株価上昇時でも買付できない事態は避けられそうです。▷詳しくはこちら▷寄り付きとは
証券取引所の取引において、前場(ぜんば=午前中の取引)と後場(ごば=午後の取引)の最初についた取引(またはその値段)のこと
※参照サイト
SMBC日興証券
証券会社名 | SMBC日興証券 |
単元未満株の表記 | キンカブ |
手数料 | 約定金額と別枠の委託手数料はいただかない代わりに、実質的なコストとして、「スプレッド(売買価格の差)」で調整される仕組み ▷詳しくはこちら |
NISA対応 | 金額指定のみ対応 NISA口座で「株数指定注文」は取扱不可 |
約定のタイミング | 前場または後場の「始値」が適用▷詳しくはこちら |
▶特徴
- 「金額」もしくは「株数」を指定して100円から株式投資が可能。
定額買付の積立投資でも毎月100円から積立金額を設定し、それに応じた株数が割り当てられる仕組み。(NISA口座利用の場合は株数指定は不可) - 「記事から株が買える」という面白い切り口の日興フロッギーもあり。
▷以下、気になった点を問い合わせました。
◆100円から買付可能とあるが、たとえば1000円の株価のものを買いたい場合は、どうなりますか?
→100円分注文後、買える株数はあとから決まります。注文後の寄付(前場または後場)の価格で買えますが、その寄付が1,000円で、100円の買い注文を出していた場合、「0.1株」買えることとなります。
◆小数点以下で株を保有している場合の配当金について
→配当金は計算後、1円以上になる場合受け取れます
取扱いはあるが理由があっておすすめしないところ
野村証券、岡三証券・・手数料高い
三菱UFJモルガン・スタンレー証券・・ネット取扱いなし、店頭のみ
株を少額で購入するその他の方法
単元未満株を買う以外の方法で、少額から株を購入する方法を2つご紹介します。
5万円で買える株もある
そもそも、100株が5万円以下で買える安い株もあります。
たとえば、B社の株価が300円の場合【300×100株=30,000円】で購入することが可能です。
こちらは最初から100株以上で購入できるため、証券取引所でリアルタイムで売買可能、議決権もあります。
総合通信の国内最大手であるNTT(9432)も、2023年7月1日に株式分割を行ったことにより、現在2万円前後で購入することが可能です。(2023.10.4時点)
安い株の中には悪い理由(業績悪化など)で安くなっている場合もあるので、「安いから買おう!」と飛びつくのではなく、しっかり情報収集して判断することも大切です。
バリュー株を見つける
バリュー株とは企業の本来の価値よりも低い価値の株価になっている銘柄のことです。
企業の知名度が低いなどの理由で本来もっている価値よりも低い株価で推移している場合があります。
割安な理由が解消されれば、その企業の評価が見直され本来の価値まで戻っていくことが期待できる、つまり株価の値上がりが期待できるというもの。
バリュー株を見分ける方法の1つに、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)という株価指標を使って判断するというものがあります。
▷見るポイント
◆PERが15倍未満が割安の目安(1株あたりの純利益に対して株価が何倍まで買われているかを表す)
◆PBRが1倍を下回っているか(本来の価値よりも株価が低いことになるため割安性が高い)
▷計算式
◆PER=株価÷1株あたりの純利益(EPS)
◆PBR=株価÷1株あたりの株主資本(BPS)
いずれも参考指標にすぎないので、業績見通しなどを含め総合的にみてバリュー株であるという判断をする必要はあります。
まとめ
株に興味はあるものの「株は上級者がするもの」というイメージがあって購入にいたっていない人向けに、少額から気軽にはじめることができる単元未満株のご紹介をしてきました。
数千円から企業の株主になれる単元未満株。新NISAもうまく活用して楽しみながら投資の経験を積んでいきたいですね。